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かつしかすなご
葛飾砂子
泉 鏡花
Read 葛飾砂子 (かつしかすなご) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 18,677 characters · 37 screens
、時計の音が一分ずつ柱を刻んで、潮の退くように鉄瓶の沸え止む響、心着けば人気勢がしないのである。
「可笑しいな、」と独言をしたが、念晴しにもう一ツ喚いてみた。
「へい、かりん糖でござい。」
それでも寂寞、気のせいか灯も陰気らしく、立ってる土間は暗いから、嚔を仕損なったような変な目色で弥吉は飛込んだ時とは打って変り、ちと悄気た形で格子戸を出たが、後を閉めもせず、そのままには帰らないで、溝伝いにちょうど戸外に向った六畳の出窓の前へ来て、背後向に倚りかかって、前後をして、ぼんやりする。
がらがらと通ったのは三台ばかりの威勢の可い腕車、中に合乗が一台。
「ええ、驚かしゃあがるな。」と年紀には肖ない口を利いて、大福餅が食べたそうに懐中に手を入れて、貧乏ゆるぎというのを行る。
処へ入乱れて三四人の跫音、声高にものを言い合いながら、早足で近いて、江崎の前へ来るとちょっと淀み、
「どうもお嬢さん難有うございました。」こういったのは豆腐屋の女房で、
「飛んだお手数でしたね。」
「お蔭様だ。」と留という紺屋の職人が居る、魚勘の親仁が居る、いずれも口々。
中に挟ったのが看護婦のお縫で、