Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

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いっぺいそつ

蒲団・一兵卒

田山 花袋

Read 蒲団・一兵卒 (いっぺいそつ) by 田山 花袋 (たやまかたい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 28,948 characters · 59 screens

Aozora Bunko

野は平和である。赤い大きい日は地平線上に落ちんとして、空は半ば金色半ば暗碧色になっている。金色の鳥の翼のような雲が一片動いていく。高粱の影は影と蔽い重なって、荒涼たる野には秋風が渡った。遼陽方面の砲声も今まで盛んに聞こえていたが、いつか全くとだえてしまった。

二人連れの上等兵が追い越した。

すれ違って、五、六間先に出たが、ひとりが戻ってきた。

「おい、君、どうした?」

かれは気がついた。声を挙げて泣いて歩いていたのが気恥ずかしかった。

「おい、君?」

再び声はかかった。

「脚気なもんですから」

「脚気?」

「はア」

「それは困るだろう。よほど悪いのか」

「苦しいです」

「それア困ったナ、脚気では衝心でもすると大変だ。どこまで行くんだ」

「隊が鞍山站の向こうにいるだろうと思うんです」

「だって、今日そこまで行けはせん」

「はア」

「まア、新台子まで行くさ。そこに兵站部があるから行って医師に見てもらうさ」

「まだ遠いですか?」

「もうすぐそこだ。それ向こうに丘が見えるだろう。丘の手前に鉄道線路があるだろう。そこに国旗が立っている、あれが新台子の兵站部だ」