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うすこうばい

薄紅梅

泉 鏡花

Read 薄紅梅 (うすこうばい) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 61,133 characters · 122 screens

Aozora Bunko

」

その木戸口に、柳が一本、二人を蔽う被衣のように。

「閉っていたって。」

と、少し脊伸びの及腰に、

「この枝折戸の掛金は外ずしてありましょう。表へだと、大廻りですものね。さあ、いらっしゃい。まこと開かなけりゃ四目垣ぐらい、破るか、乗越すかしちまいますわ。抱かれてやろうといって下すった、あなたのためなら。……飛んだ門破りの板額ですね。」

渚が傘を取直して、

「武器は、薙刀。」

「私は、懐剣。」

二人が、莞爾。

お京の方が先んじて、ギイと押すと、木戸が向うへ、一歩先陣、蹴出す緋鹿子、揺の糸が、弱腰をしめて雪を開いた。

「おお、まあ、天晴れ。」

「と、おっしゃって下すった処で、敵手はお汁粉よ。」

「あなたは。」

「え、私は、塩餡。」

「ご尋常……てまえは、いなか。」

「あとで、鴨雑煮。」

「驕る平家ね、揚羽の蝶のように、まだ釣荵がかかっていますわ。」

と閉った縁の廂を見つつ、急に渚が肩をよじた。

「ああ、冷い、柳の枝が背から。」

肩を払うと、顔へかかるのを、片手でまた掻き遣って、頬をすぼめた。

「雫もしないのに濡れたんですか、冷いこと。」

お京も立停まって振向いた。

「髪の毛ですわ……あら、私ンじゃない。