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じゃせいのいん 

蛇性の婬 

田中 貢太郎

Read 蛇性の婬 (じゃせいのいん) by 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 26,880 characters · 54 screens

Aozora Bunko

なった。室の中を見ると、狛錦、呉の綾、倭文、、楯、槍、靭、鍬などの彼の盗まれた神宝があった。

そこで豊雄の大盗の疑いは晴れたが、神宝を持っていた罪は免がれることができないので、牢屋に入れられていたのを、豊雄の父親と兄の太郎が賄賂を用いたので百日ばかりで赦された。豊雄は知った人に顔を見られるのが恥かしいので、大和の姉の許へ往った。その姉の家は泊瀬寺に近い石榴市と云う所にあって、御明灯心の類を売っていた。某日豊雄が店にいると、都の人の忍びの詣と見えて、いとよろしき女が少女を伴れて薫物を買いに来た。少女は豊雄を見て、「吾君のここにいますは」と云った。それは真女児の一行であった。豊雄は、「あな恐し」と云って内に隠れた。女は豊雄を追って往って、「君公庁に召され給うと聞きしより、かねて憐をかけつる隣の翁をかたらい、頓に野らなる宿のさまをこしらえ、我を捕んずときに鳴神響かせしは、まろやが計較りつるなり」と云い、神宝のことに関しては、「何とて女の盗み出すべき、前の夫の良らぬ心にてこそあれ」と云った。姉夫婦は真女児の詞に道理があるので疑いを晴らして、「さる例あるべき世にもあらずかし、はるばるとたずねまどい給う御心ねのいとおしきに、豊雄肯わずとも、我々とどめまいらせん」