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みつのあわれ
蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ
室生 犀星
Read 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (みつのあわれ) by 室生 犀星 (むろうさいせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 88,662 characters · 174 screens
藻みたいに、美しい色をしているお薬なんです。」
「僕の胃腸薬なんかにも、クロロフィルが入っていて、散薬だけれど、まるで緑色の薬なんだ。」
「おじさま、こんどそのお薬少し頂かしてね。」
「何にするの。」
「お腹があまり大きくふくれているから、服むとなおらないかと思うの。」
「その内頒けてあげるよ、併し金魚に効くかどうか、金魚屋さんによく聞いてからにするといいよ。いまどきの薬の事だから、間違うとたいへんな失敗になるからね。」
「それはよく聞いて頂かないとこまるわね。金魚屋さんて金魚のお医者様みたいだから、何でも聞くと知っていらっしゃるわ。」
「うっかり薬なぞ服まない方がいいよ。」
「それから療治をして控え室に戻ると、大きな西洋人が二人待ち合わせていて、二人とも睡っていたわ、あたいみたいに赤い顔をしていらっしったものですから、あたいまで睡くなっちゃった。あたい、このごろね、赤い雑誌の表紙の色を見ただけでも、すぐ睡気がして来るのよ。」
「金魚というものは泳ぎながら、みんな何時でも睡っているんだ、口をとじたままでね。」
「それからタクシーに乗ったら、燐寸一つ貰いました。お釣銭を貰おうとしたら、手を握られちゃった。