Japanese reading practice

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みつのあわれ

蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

室生 犀星

Read 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (みつのあわれ) by 室生 犀星 (むろうさいせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 88,662 characters · 174 screens

Aozora Bunko

」

「慍るも慍らないも、ないわよ、何のために今どきうろうろ出ていらっしゃるの、あたいのいる間、いくらいらっしったって、何時だって会わせて上げるもんですか。」

「だからその訳をいってゆっくり一度はあやまって見たいと、そればかり考えて、うかがって見たんです。」

「いまから幾ら謝りになっても、受けた痍あとがそんなに簡単に治るもんですか、あやまるなんて言葉はとうに、通用しなくなっているわよ。」

「怖い方ね、見かけによらない方。」

「おじさまは莫迦でいて女好きだから、あ、よしよしと仰有るかも知れないが、あたいの眼をくぐろうとしたって、一歩もお庭の中にも入れはしない。」

「では、帰ることにします。やはり来るんじゃなかった。訪ねても何にもならない事は、気のせいか、判っていたんだけれど、」

「つい来たくなったというのでしょう、本物のお化けなら門からふうわりと飛んで往って、おじさまのお書斎に行ったらいいでしょうに、そんな勇敢なまねも出来ないくせに、」

「そうよ、そんな勇気なんか微塵もないのよ、ただ、しょげて帰るだけですわ。」

「早くかえってよ、門の前では人が立ち停って見るし、この上、困らされてはとても迷惑千万だわ。