Japanese reading practice

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みつのあわれ

蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

室生 犀星

Read 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (みつのあわれ) by 室生 犀星 (むろうさいせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 88,662 characters · 174 screens

Aozora Bunko

」

「じゃ豆だの、そいから草の蔓だのは、みんな右巻きになっているの。」

「左巻きはないらしいんだ。木の事では博士みたいな人達だ。」

「おじさま、お二階にあがって見ましょう。」

「上ろう。」

「あたい、今までに、お二階に暇さえあれば上っていたのよ、階段を一段ずつ上るのが面白いのと、それにお二階の畳の上にぺたっと坐っていると、誰も知らない遠い所に来たような気がしていて、ヒミツを感じていたわ、おじさまだってあたいがお二階にいたことは、些とも、知らなかったでしょう。」

「知らなかった。」

「お庭の景色がずっと見渡せるし、その景色が大きくふくらがって、拡がって見えて来るのよ、けど、小母様はお二階にはあがれないわね。」

「上っても下りることが出来ないんだ。」

「あたいね、お二階にいると、飛び下りたり、つたって廂からぶらんこして下りて見たくなる。」

「僕も柱づたいに、つるつると不意に下りて見たい気がする。」

「それに二階というものは、かなしいところなのね、階下とは世界がちがうし、階下のことが見えないじゃないの。」

「それは階下の人はどんなにあせっても、二階のことが見えないと同じもどかしさなんだ、階下と階上とで人間が坐り合っていても、この二人は離ればなれになっているんだ。