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みつのあわれ
蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ
室生 犀星
Read 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (みつのあわれ) by 室生 犀星 (むろうさいせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 88,662 characters · 174 screens
」
「あ、そうか、判った、それは失礼、しかし何も羞かしいことがないじゃないか、みんなが持っているものなんだし、僕にはちっとも、かんかくがないんだ。」
「へえ、ふしぎね、人間には金魚のあれを見ても、ちっとも、かんかくが生じないの、いやね、まるで聾みたいだわね、あたいだちがあんなに大切にして守っている物が、判らないなんて、へえ、まるで嘘みたいね、おじさまは嘘をついていらっしゃるんでしょう。シンゾウをどきどきさせている癖に、わざと平気をよそおうているのね。」
「うむ、そういうのも尤もだが、きみだちの間だけで羞かしいことになっていても、僕らには何でもない物なんだよ。」
「人間同士なら、羞かしいの。」
「そりゃ人間同士なら大変なことなんだよ、お医者でなかったら、そんなところは見られはしない。」
「分んないな、人間同士の間で羞かしがっている物が、金魚の物を見ても、何でもないなんてこと、あたいには全然わかんないナ。」
「金魚は小ちゃいだろう、だから、羞かしいところだか何だか、判りっこないんだ。」
「お馬はどうなの。」
「大きすぎて可笑しいくらいさ。」
「じゃ人間同士でなかったら、一さい、羞かしいところも、羞かしいという感覚がないと仰有るのね。