Japanese reading practice

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みつのあわれ

蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

室生 犀星

Read 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (みつのあわれ) by 室生 犀星 (むろうさいせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 88,662 characters · 174 screens

Aozora Bunko

」

「論文なんていやね。そしてあたいが麩をたべているときに、いのちを感じると仰有りたいんでしょう。あたいの生きていることは、おじさまを困らせている時ばかりだ。」

「スーツを買え靴を買えという時か。」

「そのほかにもある。追々わかってくるわ。しまいにおじさまはあたいを煩さがって、何処かに捨てに行きやしないかと思うことがあるわ。でなきゃ殺してしまうかの二つだわ。」

「きみが木々の間を泳ぎまわりおじさんに蹤いているあいだ、おじさんはきみを大事にしているんだ、きみは何処にでも匿すことが出来るし邪魔にはならない。」

「おじさま、何時あたいが木の間に泳いでいるのをごらんになったの、」

「明るい日の中の梢に何だろうと見ていると、きみの泳いでいるすがたが見えていた。池を見るときみはいなかったのだ。きみは恐ろしい金魚だ、木の間をつたい、木の下におりて行ったが、いまでも本当の事だとはおもえないくらいだ。」

「あたいだってあれは本当のことに思えないわ。おじさま、仰向いて寝てよ、あたい、お腹のうえだと、とてもお話しよいのよ。」

「おじさんの方からは、顔がよく見えないじゃないか。」

「これでいい?」