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ひきがえるをたべたはなし
蝦蟇を食べた話
北大路 魯山人
Read 蝦蟇を食べた話 (ひきがえるをたべたはなし) by 北大路 魯山人 (きたおおじろさんじん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 3,415 characters · 7 screens
いわゆるアカヒキという種類である。シュンは冬眠の時期であろう。私が食ったのは、五月で産卵後であったかと思うが、それでも非常に美味かった。
ところが、美味も美食も、意のない者には縁がないもので、中国に十年も住んでいるとか、またはたびたび中国を訪問したりしているが、いわゆる中国通にかぎって蛙を食わしていることを全く知らないものが多い。蛙が美味いと私が話をすると、そういう連中が知らないものだから、びっくりして、「ほんとうか」などと不審がる。初めて上海へ行った新参者の私が、そういう古強者の中国通たちを案内して、蛙料理を食わしてやると、いずれの面々もその美味に驚嘆した。
そんなわけで、私は日本の蝦蟇も相当美味いだろうと思っていた。いつか機会があったら食ってやろうと考えていたのである。しかし、なんと言っても、蝦蟇の皮膚は見るからに気持が悪いから、ちょっと手を下す気になれなかった。習慣の力というものは恐ろしいもので、こういうものは、やはり、なにかのきっかけがなければ食えないものである。
ある時、瀬戸から来た陶工が、瀬戸あたりでは蝦蟇などはほとんど常食のように食っている、誰でもそこらへ行って捕えて来ては食っている、という話をした。