Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
まちはふるさと
街はふるさと
Read 街はふるさと (まちはふるさと) by Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 193,435 characters · 389 screens
駈け歩いて疲れきった二人は、酒の酔いがよくまわって、舌のスベリがよかった。秋の夜寒であるのに、それが癖の青木はハンカチで鼻の頭やヒタイをこすッている。いつも真白のハンカチを身につけている筈であるのに、黒々と垢にまみれているのを見ると、葬儀屋の足労というものが甚大だったと知れるのである。
「御足労をかけてすまなかったが、一刻も早く手をうってもらわないと、行路病人の墓地へ埋められても気の毒だからさ。第一、それからじゃア、尚さら手間がかかるだろうよ。しかし、御両氏が死人と差しむかいの酒モリも、沈々、ちょッと見かけないオモムキだね。酒が、うまかろう」
「まずくはないがね。ところで、君が電話で云ってきたときは、この子の自殺が発見されて二三時間直後のことだそうだよ。遺書を電報で送ったわけじゃアあるまいな」
「速達だが」
長平はポケットからルミ子の遺書をとりだして示した。
「明日の朝にでも、読みたまえ。今夜は、ねむくなるまで、酒をのもうや」
「こんなものが、シラフで読めるかい」
青木は無造作に遺書をひらいて、
「しかし、心ききたることをするよ。遺書を速達で届けるなんてね。