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しょっかくについて

触覚について

宮城 道雄

Read 触覚について (しょっかくについて) by 宮城 道雄 (みやぎみちお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 2,533 characters · 5 screens

Aozora Bunko

私が友人に動物を手で撫でる話をしたら、友人は、動物を撫でてみるのも結構だが、虎やライオンだったら困るな、といわれたことがあった。

私は大抵の動物には親しみを感じるが、ただ虫類だけは、どうも気味が悪い。同じ虫のうちでも、蝉とかかぶと虫のような、からだのかたいものは気味が悪くないが、蛇とか毛虫とか蛙のような、柔かいものはいちばん苦手である。ことに怖いのは蜘蛛で、夜中に便所に行った時、蜘蛛の巣が顔に触ったら、私はどうしても、それから先に一足も歩けないのである。前にも述べたように、庭へ出て木を探るのも、春のうちはまだ平気で出来るが、夏になると、虫が怖いので、それが出来ない。もし探る場合は、よく用心してあまり深入りはしないようにしている。

そういうふうであるから、ちょっと紙切れのようなものが頸筋にはいっても、虫がはいったと感じたら、じっとしていられない。私が子供の時、蜘蛛が嫌いなのを友達が知っていて紙差を作って、「そら蜘蛛だ」といって、私のからだにそれを触れさして脅かすと、私があわてて逃げるのを面白がっていたくらいである。

同じものを手に触れた場合でも、日によっては、気持のぐあいで、気持の悪い時と、それほどでもない時とがある。