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あかいふねのおきゃく

赤い船のお客

小川 未明

Read 赤い船のお客 (あかいふねのおきゃく) by 小川 未明 (おがわみめい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 3,624 characters · 8 screens

Aozora Bunko

二郎はふいに目を開いて、その人たちがどんなようすをしたり顔つきをしているか、自分が、たいてい想像したとおりであるかと、見定めようといたしました。

そして目を開けますと、なにもかも消えてしまって、ただ砂山に、日がぽかぽかとあたっているばかりでありました。

このとき、二郎は、ふと沖の方を見ますと、そこにはわき出たように、赤い船が青い海の波間に浮かんでいたのであります。

二郎は、お伽話にでもあるように、美しい船だと思いました。

そして、どこからこんな船が、このさびしい港にやってきたのだろう……と、それを、不思議に思いました。

二郎は、また、砂山の下を、顔まで半分隠れそうに、帽子を目深にかぶって、洋服を着た人が、歩いているのを見ました。

そして、しばらくすると、赤い船の姿はうすれ、洋服を着た人の姿もうすれてしまいました。

二郎は、まるで夢を見ているような心地がされたのでした。

ふたたび目をつぶって笛を吹きますと、一人一人、異様な形をした人間が自分の身のまわりに飛び出して、笑ったり跳ねたり、話をはじめるのでした。

彼はふいに目を開きました。

そして、沖の方をながめますと、赤い船がいっそうはっきりとして、青い青い、波の間に浮き出ているのでした。