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くまとしゃしょう
赤い鳥代表作集 2
木内 高音
Read 赤い鳥代表作集 2 (くまとしゃしょう) by 木内 高音 (きうちたかね) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.
N3 · intermediate · modern kanji and kana · 14,043 characters · 29 screens
なっとう屋のおばあさんが見えなくなったと思うと、このごろでは、金ボタンの制服をきた少年が、「なっとなっとう」となれない呼び声をたてて歩いていました。
そんな朝の町すじをながめながら、店さきをはいている時は、要吉にとっては一日中でいちばん楽しい時なのでした。なぜかというと、それから朝の食事がすむと、要吉にとってはなによりもいやな、よりわけをしなければならなかったからです。店の品物の中から、いたみかけたのや、くさりがひどくって、とても売りものにならないようなものを、よりわけて、それぞれ箱とかごとへべつべつにいれるのです。
枝からもぎとられると、はるばると、汽車や汽船でゆられてきたくだものは、毎日毎日、つぎからつぎへといたみくさっていくのでした。要吉は、なめらかなりんごのはだに、あざのようにできた、ぶよぶよのきずにひょいとさわったり、美しい金色のネイブルに青かびがべっとりとついたりしたのを見るたび、まるで自分のはだが、くさっていくようないたみを感ぜずにはいられませんでした。
よりわけがすむと、今度は、一山売りのもりわけです。いたみはじめたくだものの箱の中から、一山十銭だの二十銭だのというぐあいに、西洋皿へもりわけるのです。