Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Read 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 20,146 characters · 40 screens
おまえさんは芸人なんだ、芸人が金に縁のないくらい初めっから承知のうえだ、あたしが云うのは女だよ、しらばっくれて、またどこかにできたんだね、そうだろう。
そして、殴る蹴るという騒ぎになるのであった。そこまで話して、おえいは突然ぐっと振返り、登のほうへ向き直ると、眼をぎらぎらさせながら云った。
「先生はあたいを騙すんでしょ」
「なにを騙すんだ」
「こんな話をさせておいて、あたいを騙してこの子をおろすんでしょ、そうでしょ」
「ばかなことを云うな」と登が云った、「ここはお上の養生所だ、支配は町奉行で、いつも与力が出張って来ている、こんな所で本人が望まないのに、子をおろすなどということができると思うか」
「男なんてみんなおなじだ」おえいは口の中で呟いた、「男さえ持たなければ、女も子供も苦労なんかしずに済むんです」
登は黙った。そして、おえいはまた話しだした。
おかねは佐太郎にのぼせあがっていて、彼の云うことならどんな無理でもとおした。夫婦のあいだには子供が六人あり、長女のりつは今年二十三、末の妹のすえは九つになる。そのあいだに次郎と兼次という男の子がいるが、これらはみな七歳か八歳になると稼がせられた。