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あかさかじょうのからくり
赤坂城の謀略
国枝 史郎
Read 赤坂城の謀略 (あかさかじょうのからくり) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 7,661 characters · 16 screens
そこで正成は二千の精兵を、まず三つの隊に分かち、天王寺の付近にかくし伏せ、外に弱卒三百をして、橋を守らせ、機会を待った。
隅田、高橋はその弱卒を見て、大いに笑い突撃した。三百の卒は一散に逃げた。
それを追って、隅田、高橋の勢が、天王寺付近にさしかかった時、伏兵が三方からあらわれた。
隅田、高橋の勢の狼狽すまいことか!
「詭計ぞ!」とばかり退き逃げたが、正成の勢に追い討たれ、或いは川に溺れて死に、全軍ことごとく意気沮喪し、二将は京都へ引あげた。
そこで正成は悠々と、天王寺の地へ陣を敷き、京都へ攻めのぼるべき気勢を示した。
と、その時二度目の討手として、宇都宮治部大輔公綱が、向い来るという取沙汰が聞えて来た。
*
七月××日の夜のことであった。正成の天王寺の陣営で、河内の国の住人和田孫三郎は、額の汗をふきふき、正成へ情勢を報知せていた。
「……そのような事情にござりまして、宇都宮公綱宿所にも帰えらず、六波羅殿よりすぐに打ち立ち、主従わずかに十五騎にて、天王寺へ向いましてござりまするが、洛中におりましたるところの兵ども、それと聞き伝え馳せ加わり、四塚作道に達しました頃には、五百余騎になりましてござりまする。