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せきがいせんおとこ
赤外線男
海野 十三
Read 赤外線男 (せきがいせんおとこ) by 海野 十三 (うんのじゅうざ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 38,889 characters · 78 screens
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さてその日は四月六日で、月曜日だった。
ところは大東京で一番乗り降りの客の多いといわれる新宿駅の、品川方面ゆきの六番線プラットホームで、一つの事件が発生した。
それは丁度午前十時半ごろだった。この時刻には、流石の新宿駅もヒッソリ閑として、プラットホームに立ち並ぶ人影も疎らであった。
あの六番線のホームには、中央あたりに荷物上げ下げ用のエレヴェーターがあって、その周囲は厳重な囲いが仕切られて居り、その背面には、青いペンキを塗った大きな木の箱があって、これにはバケツだとかボロ布などの雑品が入っているのだが、その箱の上を利用して新聞雑誌が一杯拡げられ、傍に青い帽子を被った駅の売子が、この間に合わせながら毎日規則正しく開かれる店の番をしている。
このエレヴェーターとレールとの間のホームの幅は、やっと人がすれちがえるほどの狭さであるが、その通路にはエレヴェーターを背にして駅の明いているうちは不思議にもきまって、必ず一人の若い婦人が凭れているのだ。その婦人は電車の発着に従って人は変るけれど、其の美しさと、何となく物淋しそうな横顔については、どの女性についても共通なのであった。