Japanese reading practice

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あかごうしくろうえもんのむすめ

赤格子九郎右衛門の娘

国枝 史郎

Read 赤格子九郎右衛門の娘 (あかごうしくろうえもんのむすめ) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 16,174 characters · 33 screens

Aozora Bunko

「もう数えるには及ばねえ。とうに決心は付いてるのだ。そも悪党には情はねえ。肉親の愛に溺れた日にゃ、一刻も泥棒はしていられねえ。今更姐御に背かれようか」

「おおそれでこそ妾の片腕。いい度胸だと褒めてもやろうよ。……変心しないその証拠に今夜お袖をしとめておしまい!」

「え! 罪もねえ妹を※(感嘆符疑問符、1-8-78)」

「妾も卜翁をばらすからさ」

「その卜翁は姐御の敵。ばらすというのも解っているが、妹には罪も咎もねえ」

「それでは厭だと云うのかい?」

お菊はキリリと眉を上げた。

「…………」

忠蔵は歯を噛むばかりである。

「およしよ」と一句冷やかに、お菊は障子を締め切った。

「姐御!」と忠蔵は声を掛けた、丸窓の内は静かである。

「うん」と忠蔵は頷いたが。

「姐御々々やっつけやしょう!」

「後夜の鐘の鳴る頃に……」

丸窓の奥からお菊が云った。

「後夜の鐘の鳴る頃に……」

忠蔵がそれをなぞって行く。

「妾はここで三味線を弾こう。それが合図さ。きっとおやりよ」

怨みは深し畜生道

やがて日が暮れ夜となった。

夜は森々と更けている。

卜翁の部屋は静かである――お袖とそして卜翁とが、今、しめやかに話している。