Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
おどるいっすんぼうし
踊る一寸法師
江戸川 乱歩
Read 踊る一寸法師 (おどるいっすんぼうし) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 7,734 characters · 16 screens
「オイ、緑さん始めるぜ」
そういうが早いか、青年は不具者を引っぱり起して、その眉間を平手でグンとついた。一寸法師は、つかれた勢で、さも鞠の様にクルクル廻りながら、後の方へよろけて行った。すると、そこにもう一人の青年がいて、これを受けとめ、不具者の肩を掴んで自分の方へ向けると、又グンと額をついた。可哀相な緑さんは、再びグルグル廻りながら前の青年の所へ戻って来た。それから、この不思議な、残忍なキャッチボールが、いつまでもくり返された。
いつの間にか、合唱は出雲拳の節に変っていた。拍子木と三味線が、やけに鳴らされた。フラフラになった不具者は、執念深い微笑を以て、彼の不思議な役目を続けていた。
「もうそんな下らない真似はよせ。これからみんなで芸づくしをやろうじゃないか」
不具者の虐待に飽きた誰かが叫んだ。
無意味な怒号と狂気の様な拍手が、それに答えた。
「持ち芸じゃ駄目だぞ。みんな、隠し芸を出すのだ。いいか」
紫繻子の猿股が、命令的に怒鳴った。
「まず、皮切りは緑さんからだ」
誰かが意地悪くそれに和した。ドッと拍手が起った。疲れ切って、そこに倒れていた緑さんは、この乱暴な提議をも、底知れぬ笑顔で受けた。