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おどるちへいせん
踊る地平線(下)
谷 譲次
Read 踊る地平線(下) (おどるちへいせん) by 谷 譲次 (たにじょうじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 141,823 characters · 283 screens
女の一行、そのあいだに砂塵を上げて、満員の電車と、レヴィニア丘行きの乗合自動車が驀進してくる。
私達も、自動車を駆って郊外へ出た。
市街をあとにするが早いか、場末に当る区域はなくて、すぐに田舎である。砂ほこりが私たちを追っかけて来る。緑樹に挟まれた赭土の道が、長く一ぽん私達の前に伸びて、いたるところに新式の農園が拓かれつつあるのを見る。古い土に若い力が感じられる。ココナッツの森を越すと、陽にたぎっている水田の展望だ。玉突台のような緑野の緩斜面だ。そこここに藁葺きの小屋がある。花壇のなかに微笑して建っている。マグノリアのにおいがする。村の入口では子供が出迎える。車が通る。馬のかわりに水牛が牽いている。瘤牛が畑を耕している。その角はすべて美々しく彩色され、頸には貝殻の襟飾りだ。田園のあちこちに働く赤銅色の男たち、その腰に巻いた白布のそよぎ、肩や背に重い竹籠を載せて市場へ通う人々――女が道ばたで石を割っている。道路工事だ。
セイロンはまだ巨大な処女地の感がある。
私の足もとの池にはこうして水蓮の花が浮かんで、野には、雲の影が落ちている。
子供を背負った母親が水瓶を提げて黄色い道を行く。