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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
Read 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) by 林 不忘 (はやしふぼう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 14,319 characters · 29 screens
嬰児お鈴は今年生れたのだからもちろん酉だ。お久美の十三も嘉永二年の出生で己酉。磯屋のおりんとお滝は二十五年の同年で天保八年の生れだが、天保八年は――これもまた丁の酉!
年齢干支九星早見弁。こうだ。
お鈴――文久元年、かのとのとり、四緑、木星、柘榴木。
お久美――嘉永二年、つちのととり、五黄、土星、大駅土
おりんお滝――天保八年、ひのとのとり、一白、水星、山中火。
ひとしくとりで星は土木水を表している。今いっそう詳しくこれを案じてみるに、お鈴は辛酉は総じて種子であって樹木の生々を意味するから四緑の柘榴木とすべて木で出ている。お久美はつちのとの大駅土とこれも星の土に合っているが、ただ、おりんお滝のみは水星にもかかわらずひのと山中火と水を排して反性の火を採っている。これは穏当ではない。おりんお滝は恨むことを知る年齢に達していたから、星の水を藉りて満々と拡ごり恨み、また、納音山中火の音と響いては火と化して炎々と燃え盛っているのではあるまいか。土水木各々をその納音で見れば、お久美は大駅土、大く土に駅まる。
お鈴は柘榴木、石榴の古木は、挽いて井桁に張れば汚物は吸わず水を透ますとか。