Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

もん

門

夏目 漱石

Read 門 (もん) by Natsume Sōseki (夏目 漱石) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 139,830 characters · 278 screens

Aozora Bunko

その時分は蕎麦を食うにしても、盛かけが八厘、種ものが二銭五厘であった。牛肉は普通が一人前四銭で、ロースは六銭であった。寄席は三銭か四銭であった。学生は月に七円ぐらい国から貰えば中の部であった。十円も取るとすでに贅沢と思われた。

「小六さんも、その時分だと訳なく大学が卒業できたのにね」と御米が云った。

「兄さんもその時分だと大変暮しやすい訳ですね」と小六が答えた。

座敷の張易が済んだときにはもう三時過になった。そうこうしているうちには、宗助も帰って来るし、晩の支度も始めなくってはならないので、二人はこれを一段落として、糊や髪剃を片づけた。小六は大きな伸を一つして、握り拳で自分の頭をこんこんと叩いた。

「どうも御苦労さま。疲れたでしょう」と御米は小六を労わった。小六はそれよりも口淋しい思がした。この間文庫を届けてやった礼に、坂井からくれたと云う菓子を、戸棚から出して貰って食べた。御米は御茶を入れた。

「坂井と云う人は大学出なんですか」

「ええ、やっぱりそうなんですって」

小六は茶を飲んで煙草を吹いた。やがて、

「兄さんは増俸の事をまだあなたに話さないんですか」と聞いた。