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やみよのうめ
闇夜の梅
三遊亭 円朝
Read 闇夜の梅 (やみよのうめ) by 三遊亭 円朝 (さんゆうていえんちょう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 22,133 characters · 44 screens
ことでござります。
彼の浅草三筋町の甲州屋の娘お梅が、粂之助の後を慕って家出をいたす。何程年が行かぬとは申しながら、実に無分別極まった訳でござります。左様な事とは毫しも知らぬ粂之助が、丁度お梅が家出をした其の翌朝のこと、兄の玄道が谷中の青雲寺まで法要があって出かけた留守、竹箒を持って頻りに庭を掃いていると、表からずっと這入って来た男は年頃三十二三ぐらいで、色の浅黒い鼻筋の通ったちょっと青髯の生えた、口許の締った、利口そうな顔附をして居ますけれども、形姿を見ると極不粋な拵えで、艾草縞の単衣に紺の一本独鈷の帯を締め、にこ/\笑いながら、
男「え、御免なさいまし」
粂「はい、お出でなさい」
男「えゝ、長安寺というのは此方ですか」
粂「ヘエ、左様でございます」
男「あの此方に粂之助さんというお方がおいででござりますか」
粂「ヘエ、粂之助は私でございますが…」
男「ア左様でげすか、是は何うも…左様ならちょいと表まで顔を貸してお貰い申したいもので」
粂「ヘエ………あの生憎兄が居ませぬで、何うも家を空にして出る訳には参りませぬから、若し何ぞ御用がおあんなさるなら庫裏の方へお上んなすって」