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でんぽう
電報
黒島 伝治
Read 電報 (でんぽう) by 黒島 伝治 (くろしまでんじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 6,388 characters · 13 screens
「いゝや、それでも市に行きゃえらい者が多いせにどうなるやら分らんて。」
「毎朝、私、観音様にお願を掛けよるんじゃものきっと通るわ。」
源作は、それには答えなかった。彼は、息子が中学を卒業して、高等工業へ入って、出ると、工業試験場の技師になり、百二十円の月給を取るのを想像していた。
三
市の従弟から葉書が来た。息子は丈夫で元気が好いと書いてあった。県立中学は、志願者が非常に多いと云って来た。市内の小学校を出た子供は、先生が六カ月も前から、肝煎って受験準備を整えている上に、試験場でもあわてずに落ちついて知って居るだけを書いて出すが、田舎から出て来た者は、そういう点で二三割損をする。もっとも、この子はよく出来るということだから、通ることは通るだろうが、と書いてあった。
「通ったらえらいものじゃがなあ。」源作は、葉書を嚊に読んできかせた後、こう云った。
「もっと熱心にお願をするわ。」
こういうことを、神仏に願っても、効くものでない、と常々から思っている源作も、今は、妻の言葉を退ける気になれなかった。
源作が野良仕事に出ている留守に、おきのの叔父が来た。