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ほしみせ

露肆

泉 鏡花

Read 露肆 (ほしみせ) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 15,973 characters · 32 screens

Aozora Bunko

ところでじゃ、約束通りに、あとの二円を持って、直ぐにその熊手を取りに来れば何事もありませんぞ。

そうら、それが遣って来ん、来んのじゃ諸君、一時間経ち、二時間経ち、十二時が過ぎ、半が過ぎ、どうじゃ諸君、やがて一時頃まで遣って来んぞ。

他の露店は皆仕舞うたんじゃ。それで無うてから既に露店の許された時間は経過して、僅に巡行の警官が見て見ぬ振という特別の慈悲を便りに、ぼんやりと寂しい街路の霧になって行くのを視めて、鼻の尖を冷たくして待っておったぞ。

処へ、てくりてくり、」

と両腕を奮んで振って、ずぼん下の脚を上げたり、下げたり。

「向うから遣って来たものがある、誰じゃろうか諸君、熊手屋の待っておる水兵じゃろうか。その水兵ならばじゃ、何事も別に話は起らんのじゃ、諸君。しかるに世間というものはここが話じゃ、今来たのは一名の立派な紳士じゃ、夜会の帰りかとも思われる、何分か酔うてのう。」

三

「皆さん、申すまでもありませんが、お家で大切なのは火の用心でありまして、その火の用心と申す中にも、一番危険なのが洋燈であります。なぜ危い。お話しをするまでもありません、過失って取落しまする際に、火の消えませんのが、壺の、この、」