Japanese reading practice

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あおべかものがたり

青べか物語

山本 周五郎

Read 青べか物語 (あおべかものがたり) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 160,961 characters · 317 screens

Aozora Bunko

彼女たちは不景気が続くと、「湯銭もなくなる」そうで、厳冬でない限りは川へはいって躯を洗い、また髪までも洗う。土堤の上は人が往来し、川にも通船やべか舟がのぼり下りしている。しかし彼女たちは少しもたじろがないばかりか、逆に躯の屈伸や捻転動作を誇張し、まばゆいばかりに野性の誘いを放散してみせる。人たちも土地の者である限りは、決して驚いたり顔を赤くしたりするようなことはない。若い漁師や通船の水夫たちは、ごくあたりまえに立停って、彼女たちと率直に会話をとり交わすのであった。

――おうれ、てんで縹緻あげたじゃねえか、お花。

――いいくらかげんのことを云って、むりすんなえ**なあこ。

――嘘じゃあねえまったくに縹緻あげただぞ。

――顔ばっか見るふりいして、ほんとはここが見てえだべ、ここがよ。

そして彼女たちは、腰部前面の或る部分をひたひたと手で叩く、という場面は極めて尋常に見ることができた。これについていつか、三十六号船の船長のブルさんは、殆んど失明しかかっている眼を仔細ありげにまたたきながら、次のように穿った注を加えたことがあった。

――あれは湯銭がねえだけじゃあねえ、半分は客を呼ぶためもあるだよ。