Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Read 青べか物語 (あおべかものがたり) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 160,888 characters · 317 screens
増さんが一円紙幣を五枚見せたら、これからすぐにでも伴れていってくれ、と云ったそうである。
「あのおっかあはそれを聞くと肝うつぶしてとびだしちまっただ」と平二郎は云った、「なにしろおめえさん、村一番の乱暴者で鼻っつまみだったからねえ、――みんなはきっと死ぬ気だべえって、えれえ騒ぎをしたもんだよ」
きみのはどこかの警察に捉まって保護され、増さんがいって引取って来た。
二人の結婚生活はごく平凡にすぎていった。結婚してからもきみのは大蝶の工場へかよっていたし、増さんもなんとなく大蝶へ出入りをして、雑役のようなことをしたり、旦那が猟にいくときは供もした。平凡な結婚生活は三年ほど続いた。むろんそのあいだにも、増さんの行状は変らなかった。酒を飲むと暴れるし、誰かと口論をしたり、殴りあいをしたりしない日はなかった。或るとき大蝶の工場のほうの支配人が、おまえのようなやつはもうくびだ、と怒った。増さんは鼻の先で笑った。
「冗談を云いなさんなって、増さんはえへら笑いをしたってえだ」と平二郎は云った、「おらあ好きで大蝶の仕事に来ているんで、雇われてるわけじゃあねえ、雇われてもいねえ者をくびにできるかってよ」