Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ふうどとでんとう
風土と伝統
中谷 宇吉郎
Read 風土と伝統 (ふうどとでんとう) by 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 4,842 characters · 10 screens
というわけは、水稲以外の作物は、どの作物でも同じ場所に何年もつづけて作付をすることはできない。輪作といって、毎年作物の種類をかえる必要がある。ところが水田だけは、千年以上も同じところに同じ米を作っている。千年間の連作が出来るものは他にはない。
もし水田に連作が出来ないとしたら、これは大変なことで、主食の生産が三割も四割も減ることになるであろう。この狭い国土に、これだけの人間が生きて行けるのは、千年間連作可能の水稲を作っているからであろう。そういう意味で、日本人から米を取り去ることは不可能である。
ところで水田が日本でなぜこんなに発達したかというに、それは雨が多くて、水に恵まれているからである。とくに田植時に梅雨があって、田植が出来ることが、非常に有利な点なのである。梅雨時になると、誰でも毎日雨ばかりで、じめじめしていると不平をいうが、あの梅雨のおかげで、われわれは生命をつないで行けるのである。田植というのは、稲の苗を移植することであって、主食作物の移植栽培というのは、現代の西洋農学でも最高の技法である。それを千年も昔から、われわれの祖先は実行していたわけである。