Japanische Klassiker mit Furigana
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ああぎょくはいにはなうけて
ああ玉杯に花うけて
佐藤 紅緑
Lesen Sie ああ玉杯に花うけて (ああぎょくはいにはなうけて) von 佐藤 紅緑 (さとうこうろく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.617 Zeichen · 250 Bildschirme
右も桜左も桜、上も桜下も桜、天地は桜の花にうずもれて白一白、落英繽紛として顔に冷たい。
「ああきれいなところだなあ」
こう思うとたんにしずかに馬蹄の音がどこからとなくきこえる。
「ぱかぱかぱかぱか」
煙のごとくかすむ花の薄絹を透して人馬の行列が見える。にしきのみ旗、にしきのみ輿! その前後をまもるよろい武者! さながらにしき絵のよう。
行列は花の木の間を縫うて薄絹の中から、そろりそろりと現われてくる。
「下に座って下に座って」
声が聞こえるのでわきを見るとひとりの白髪の老翁が大地にひざまずいている。
「おじいさんこれはなんの行列ですか」
こうたずねるとおじいさんは千三の顔をじっと眺めた、それは紙幣で見たことのある武内宿禰に似た顔であった。
「あれはな、後村上天皇がいま行幸になったところだ」
「ああそれじゃここは?」
「吉野だ」
「どうしてここへいらっしったのです」
じいさんは千三をじろりと見やったがその目から涙がぼろぼろこぼれた。一円紙幣がぬれては困ると千三は思った。
「逆臣尊氏に攻められて、天が下御衣の御袖乾く間も在さぬのじゃ」
「それでは……これが……本当の……」