Japanische Klassiker mit Furigana
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ああぎょくはいにはなうけて
ああ玉杯に花うけて
佐藤 紅緑
Lesen Sie ああ玉杯に花うけて (ああぎょくはいにはなうけて) von 佐藤 紅緑 (さとうこうろく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.617 Zeichen · 250 Bildschirme
うの花がふたりの胸にたもとにちらりちらりとちりしきる。千三はだまってうつむいていた。
社会のどん底にけおとされて、貧苦に小さな胸をいため、伯父は牢獄にあり、わが身はどろにあえぐふなのごときいまの場合に、ただひとり万斛の同情と親愛をよせてくれる人があると思うと、千三の胸に感激の血が高波のごとくおどらざるを得ない。かれは石のごとく沈黙した。
「ねえ青木君、ぼくの心持ちがわかってくれたろうね」
「…………」
「明日からでも商売をやめてね、伯父さんがでてくるまで休んでね、そうしてきみは試験の準備にかかるんだね、決して不自由な思いはさせないよ」
「…………」
「ぼくはね、金持ちだからといっていばるわけじゃないよ、それはきみもわかってくれるだろうね」
「無論……無論……ぼくは……」
千三ははじめて口を開いたが、胸が一ぱいになって、なんにもいえなくなった。はげしいすすりなきが一度に破裂した。
「ありがとう……ぼくはうれしい」
涙はほおを伝うて滴々として足元に落ちた。足にはわらじをはいている。
「じゃね、そうしてくれるかね」と光一も涙をほろほろこぼしながらいった。
「いいや」と千三は頭をふった。