Japanische Klassiker mit Furigana
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あめんちあ
あめんちあ
富ノ沢 麟太郎
Lesen Sie あめんちあ von 富ノ沢 麟太郎 (とみのさわりんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.594 Zeichen · 83 Bildschirme
この苦悩は、彼の脳裡のなかへ黒雲の旋風を捲き起した。
彼が予想するすべては、彼自身の最期を感じさせる。
電燈などは点っていても消えていても一向差支えなくなった。
そうして怕しい静さは室内に溢れはじめた。
その静寂のうちに彼を見張っている何者かが潜んでいそうである。
その者は彼の心臓の動悸を数えている。
彼は自分がもう堪えられなくなった。
彼は立ち上ると蹣跚いて行って、北窓をがらりと開けた。
その刹那、彼の躯は、ひやりと夜の空気に打たれたと同時に、何ものかにナイフででも切られたかのように掠められた。
彼は眼が眩んだように感じた。
その時、彼はその何者か解らないものは、いままで部屋のなかに潜伏していた一人の陰謀者の輪廓のないたましいではないかと思った。
彼がこう思えば当然であると会得出来る。
しかしこれは莫迦莫迦しいほど無智な表白ではなかろうか。
ところが、この無智こそ人間に対する一つの威嚇である。
この愚鈍と交流してこそ人生は荘厳になるのである。
何故なら、自己の絶えない失脚は、自己の実現に無駄骨を折っているから。
若しも――彼は考えつづけた――一流の賭博者は、素人である相手に、現金を山と積まれて勝負に熱中したところで、その札の山を切り崩して行くことは出来ない。