Japanische Klassiker mit Furigana
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あめんちあ
あめんちあ
富ノ沢 麟太郎
Lesen Sie あめんちあ von 富ノ沢 麟太郎 (とみのさわりんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.594 Zeichen · 83 Bildschirme
そうして彼等はその町の出鼻のところで、一軒のカフェを見つけた。
彼等は寒水石ではないが純白な色の円卓子へ向き合って坐った。
彼が気づくと、その円卓子の縁一寸ほどのところを一本の金線が細く円を描いていた。
彼はその金線に添うて、火をつけない一本の巻煙草を置いてみた。
彼は周囲の上へ直線がきちんと重ならないことは知りながらも、考え深かそうにそれを幾回でも繰返してみた。
そのうちに青沼は自分の独り言のように小さな声で、彼へ話しかけた。
「さっきのは素晴らしいスクリーン・スナップ・ショットでしたな!」
その時、彼はちょうど一線に擬えた煙草の直線の一点へ金色の円周の一点を接点さしていた。
――突然、接点は離れてしまった。
「えッ? え、え、え、え!」
彼の相手はその顔を彼自身の眼から外してうつむいてしまった。
彼はかすかに微笑んだ。
彼等は一種の暗合のように同時に立ち上った。
町は明るい光に淀んでいた。
四月の雨は止んで、桃色の雲はあざやかに浮びあがり、その中心を西の方へ惹いていた。
彼等二人は再会を約しながら快く別れた。
*
彼は四個の行李と、書物と、プログラムとの間に埋もれながら、自分の親友青沼白心のことを考えていた。