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Japanische Klassiker mit Furigana

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あるこうぎしょ

ある抗議書

菊池 寛

Lesen Sie ある抗議書 (あるこうぎしょ) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.272 Zeichen · 34 Bildschirme

Aozora Bunko

私は父の悲憤を眼にしますと、再び胸のうちが湧き返るような激怒を感じました。

「俺は、諦めるが、お信はどう思うだろう」と云いました。そう云うのを聴くと、私は家に残って最愛の娘の安否を気遣って居る老年の母を思わずには居られませんでした。母がどんなに姉を愛して居るかを、知って居る私は此の惨事の報道が母に対してどれほど、致命的であるかを考えずには居られませんでした。父は、姉と義兄との屍体を等分に見て居ましたが、

「夫婦二人揃って、殺されるなんて、何と云う因果な事か……」と、云うかと思うと無念に堪えられないように歯噛みをいたしたようでありました。丁度、その時に戸外に、数台の車の音がしたかと思うと、さっきの刑事が入って来て、「今予審判事が出張になりました」と、云いました。私は、それでも予審判事が来たことを頼もしい事のように思いました。その人達の手に依って此の兇悪な犯人が一日も早く捕われることを祈らずに居られませんでした。

それから後のことは、簡単に申し上げましょう。私達は、尚、姉のあさましい死を、姉を何物にもまして愛して居た母に告げると云う、心苦しい仕事をしなけれはなりませんでした。