Japanische Klassiker mit Furigana
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あるひのごご
ある日の午後
小川 未明
Lesen Sie ある日の午後 (あるひのごご) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.462 Zeichen · 3 Bildschirme
私は世間の多くの人々が、此夜から暁になろうとしている瞬間の自然の景色を、自分の如くこうして外に立って親しく知る者が幾人あろうと考えた。……私は其処に新しい詩材を見出すことが出来るように覚えて観察を怠るまいと思った。
此時始めてこの二軒長屋の一軒が、戸を開けてあるのを見て驚いた。もう此家は疾に起きていると思われたからだ。私は其の時からこの家にはどういう人々が住んでいるだろうかと思った。私は直ちに生活に奮闘している人々だと考えた。何となればこんなに朝早くから起きているのを見ると、多くの人々がまだ安眠している時分にも、生活の為に働いているのであろうと感じたからであった。
私は新聞の問題よりも、此の方に多くの注意を惹いた。而して其の後此の家に注目したが、未だこの家の主らしい男を見たことがなかった。時々家の前に七ツ八ツの青白い顔の女の児が、乳飲児を負って立っているのを見た。妻がその女の児を見ながら、
『死んだ人の顔だってあんなに青くはない。』と言ったことがある。
なんでも其の顔付は、極端な腎臓病に罹っているような徴候らしくあった。それだのにこうして医者にも見せずにしかも幼児の守をさして置くのは畢竟貧しいが為ではなかろうか。