Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるひのれんげつに

ある日の蓮月尼

岡本 かの子

Lesen Sie ある日の蓮月尼 (あるひのれんげつに) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.878 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

(盗人決心して懐中より短剣を抜き放ち、蓮月の前にすっくと立つ。)

盗人 ――盗人です。

(蓮月静かに筆をさし措いて盗人に正面する。)

蓮月 ――このあばら屋に何か欲しいものがおありなのですか。

盗人 ――そうたやすく持って行けるものは欲しくないのです。

蓮月 ――妙ですね。この家はご覧のとおり夜も戸閉りは致しません。それと云うのもこの家にあるものはみな入用の方にはいつ何時たりとも差し上げて宜いつもりからです。別にむずかしく隠したりしてあるものはありませんからです。

盗人 ――あなたの御気性として人を悪に陥れたく無い為、夜も戸閉りをせず盗人さえも知人か近所の人のように自由に出入りさして物を与えてやる。そのお心がけはよく分って居ます。わたくしはそれを承知で這入ったのです。然しわたくしはあなたのその慈悲に覆われて、罪なくしてものをもらって行こうという乞食にはならん積りです。飽までも私の力であなたからものを強奪して行く罪人になります。

蓮月 ――不思議なお望みではありませんか。何か殊更のわけがおありなのでしょう。ですが、そうまあ立ちはだかってお居ででは草臥れもしましょう。