Japanische Klassiker mit Furigana
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あるおとことうしのはなし
ある男と牛の話
小川 未明
Lesen Sie ある男と牛の話 (あるおとことうしのはなし) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 2.281 Zeichen · 5 Bildschirme
牛は、汗を滴らして車を引きました。そのうち、餡ころもちを売る店の前へさしかかると、男は、ちょっと店の方を横目で見て、
「今日は、帰りに餡ころもちを買ってやるぞ。だから、早く歩けよ。」といいました。
昨日と同じ時分に、町へ着きました。そして、男は、昨日と同じように、よけいに金をもらいました。男は、ほくほく喜んだのであります。この男は、よけいに金を持つと、なんで忍耐して、居酒屋の前を素通りすることができましょう。やはり我慢がされずに、店へはいって、たらふく飲みました。その間、牛は外にじっとして待っていました。
男は、いい機嫌で店から出ると、牛を引いてゆきました。
やがて、餡ころもちを売る店の前へさしかかりました。
「なに、畜生のことだ。人間のいったことなどがわかるものか……。」と、男は、ずうずうしくも知らぬ顔をして、牛を引いて、その前を通り過ぎてしまいました。そのとき、牛は、
「モウ、モウー。」と、なきました。
「さ、早く歩け!」と、男は、しかりつけて、ピシリと牛のしりを手綱で力まかせにたたきました。すると、いままで、おとなしかった牛は、急に、猛りたって、男を角の先にかけたかと思うと、五、六間もかなたの田の中へ、まりを投げ飛ばすように投げ込んでしまったのです。