Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるかんぬしのはなし

ある神主の話

田中 貢太郎

Lesen Sie ある神主の話 (あるかんぬしのはなし) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.116 Zeichen · 10 Bildschirme

Aozora Bunko

勘作は女を渡して帰って来た。

水の男はもう勘作の家へ来て坐っていた。

「おい勘作さん、お前さんは、なんと云う意地悪だ、何故私が人間になる邪魔をする」

勘作は莞爾莞爾笑いながら上へあがった。

「お前さんも又、殺生なことまでして何故人間になりたいのだ、そんなことは、ふっつり思い切ったらどうだ」

「思い切れないからこそ、やってるじゃないか、何故邪魔をする」

「お前さんは、そんなことを云うが、お前さんに生命を奪られて体を借られる人間の身になってみたらどうだ、俺が邪魔をするわけも判るよ」

「そりゃ、人間には可哀そうさ、だが私の身になったらどうだ」

「お前さんのことは道にはずれているから、そんなことは話にならんさ」

「お前さんは意地悪で困る」

「まあ、酒でも飲もう、宵のあまりがあるから、そいつを飲みながら話そう」

二人の交りは又三年ばかり続いた。そして、その年の春であった。某夜水の男は勘作が寝ている枕頭へ来た。

「私は、お前さんのおかげで悪いこともせずにやってたから、今度、神になって祭られることになった。これからこの湖では余り漁もないし、お前さんも年が往って仕事をするが苦しかろうから、私の処へ来て神主になるがよい、場所はこの家の前の路を西へ西へと十日ばかり往くと、大きな川がある、その川の土手だからすぐ判る」