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Japanische Klassiker mit Furigana

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いたずらこぞうにっき

いたずら小僧日記

佐々木 邦

Lesen Sie いたずら小僧日記 (いたずらこぞうにっき) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 63.226 Zeichen · 128 Bildschirme

Aozora Bunko

森川さんは「はい、一向」と答えた。はい一向もないものだ。乃公は先刻から僅半間とは離れぬ処にいるんだぞ。今日は乃公が死にかけたので、只今見舞人が罷越したのであるが、肝腎要目の御当人の姿が見えないので、お母さんが探しに来たのである。はい一向もないものだ。で、此上御心配をかけては済まないと思ったから、乃公は窓掛けの中から躍出て、突然其処に四つん這になって、ウーウと一つ唸ってくれた。

「ああ太郎、お前はまあ奈何おしなのだねえ」

とお母さんは然も呆れ返った如く、ねえを引張って、天手古を舞いかける。

「まあ太郎さん、お前は先刻から此の中にいたのかい」

とお春姉さんはお自慢の大眼玉をる。

「ええ、いましたよ、十六世紀頃から此処にいました。ねえ、姉さん、秘密は最良の政略ですねえ。半歳は六ヵ月で厶いますねえ。ヘッヘヘヘヘ」

と乃公は一歩進んで赤ん眼をして呉れた。

お春さんは顔を赤くして乃公を捉えた。そして、

「さあ彼方へ行らっしゃい。お母さんに御心配をかけて」

と万事お母さんに託けて、乃公を捲く料簡と見えた。

「行きますよ行きますよ。其様に酷い事をしなくたって行きますよ。けれども姉さん、姉さんと森川さんは……」