Japanische Klassiker mit Furigana
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うすゆきしょう
うすゆき抄
久生 十蘭
Lesen Sie うすゆき抄 (うすゆきしょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.454 Zeichen · 59 Bildschirme
娘の行子が進んで面甲を周旋し、兄を欺まして先方へ届けている。面甲で顔を隠して逢いに来てくれというのだったろうが、そういうところから推すと、相手の業病を承知で、なお離れがたくなっているのらしい。それほどの強い恋が、いつどこでどうして萌えだしたのか。そういう事情が明白になった以上、このままには放っておけない。猪狩を口実にするような方法では手ぬるい。この後とも、厚顔しく娘を抱きにくるようだったら、人手を借りずに射殺してしまおうと決心した。
後でわかったことだが、谷戸へ押しあがった道益の手の者は、いうまでもなく風摩ノ衆に殺されたのである。谷津の邸第の楼門で見張りをする輩、非時の見廻りをする兵隊、川口にいる船頭のなかにも風摩の一類がいた。あまり騒ぎが大きいので、夜狩のいきさつは、その日のうちに鷹巣山につたわっていた。道益の手の者は、谷戸の口で乱破の下廻りに誘導され、谷袋の奥へ追込まれたうえ、八方から矢を射かけられ、十梃あまりのモスケッタ銃を敵方に差上げたところで、あえなく大詰をだした。箱根の外輪山に囲まれた入谷津の谷戸は、そういう仕事を仕終すのにこの上もない土地柄だったのである。