Japanische Klassiker mit Furigana
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おさん
おさん
山本 周五郎
Lesen Sie おさん von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.128 Zeichen · 66 Bildschirme
二の一
おれが手を伸ばすと、おさんの躯はなんの抵抗もなくおれの上へ倒れかかってきた。そしてあれが起こったのだ、おれが抱き緊めて、まだそれ以上になにをするつもりもなかったとき、おさんの躯の芯のほうで音がした。音とはいえないかもしれない、水を飲むときに喉がごくっという、音とも波動ともわかちがたい音、抱き緊めているおれの手に、それがはっきり感じられたのだ。おれはそれで夢中になった。おどろくほどしなやかで柔らかく、こっちの思うままに撓ううぶな躯の芯で、そんなに強く反応するものがある、ということがおれを夢中にしてしまったらしい。そして、終ったとも思えないうちにおさんが云ったのだ。これ本当のことなの、本当にこうなってしまっていいの。全身でふるえ、力いっぱいしがみつきながら……。
二の一
行燈がまたたいた。油が少なくなったのだろう、行燈が生き物のように、明るく暗くまたたきをし、油皿で油の焦げる音がした。参太はたとう紙の上に並べた小判や小粒をみまもっていたが、油の焦げる匂いに気づいて振返り、手を伸ばして行燈を引きよせた。燈芯のぐあいを直し、油を注ぎ足すと、行燈は眼をさましたように明るくなった。