Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おさん

おさん

山本 周五郎

Lesen Sie おさん von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.128 Zeichen · 66 Bildschirme

Aozora Bunko

噂に聞いたとおり、女もよし酒も喰べ物もうまい。このまま上方に根をおろそうかと思ったくらいだが、二年めになったころからおちつかなくなった。魚も野菜も慥かにうまいし、料理のしかたもあっさりと凝っている。だがおれは、鯛の刺身より鰯や秋刀魚の塩焼のほうが恋しくなった。酒だって江戸のあっさりしたほうが口に合うし、初めはやさしいと思った女にしても、馴れてみればべたべたした感じで、江戸の女たちのさらっとした肌合にはかなわない。おまけに仕事の交渉の面倒なことだ。飾り板一枚でもとことんまで値切られる、勘定払いはいいけれども、注文がきまるまでのやりとりにはうんざりさせられた。それが番たびのことだからだんだんいや気がさして来た。そこへ宗七から手紙が来た。宗七はおれの弟分で、年は二十一、まだ大茂に住込んでいた。手紙は大茂の没落の知らせだった。年の暮になって店が火事で焼け、みんな着物一枚で逃げた。おかみさんと子供は危なく死ぬところだったが、親方はそのことでしんから怯えてしまったらしい。せっかく授かった子を二度とこんなめにあわせたくないと云って、八王子在の故郷へ引込んでしまった、ということであった。