Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おさん

おさん

山本 周五郎

Lesen Sie おさん von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.128 Zeichen · 66 Bildschirme

Aozora Bunko

「二十三両」彼は向き直って、そこにある金を見やった、「二十三両と三分二朱か」

階段を登る足音が聞えた。参太はたとう紙の一方を折って、並べてある金を隠した。あがって来た足音は廊下をこっちへ近づいたが、そのまま通り過ぎていった。参太は胴巻と、革の財布と巾着を取り、二十両を胴巻へ入れてまるめ、三両二分を財布、残りを巾着へ入れた。そうして胴巻は枕の下、財布は両掛の中、巾着を枕許へと片づけてから、太息をついて火鉢の鉄瓶を取ろうとした。鉄瓶は冷たかった。彼は鉄瓶に触れてみてから、火箸を取って火をしらべた。火は立ち消えになって、白い灰をかぶった炭だけしかなかった。

「茶が欲しいな」と彼は火箸から手を放して呟いた、「――来るのか来ないのか、すっぽかしだとすると、いまのうちに茶を貰っておくほうがいいかな」

廊下を足音が戻って来て、停った。

「起きてて」と障子の外で女の囁く声がした、「もうすぐだから待っててね」

「茶が欲しいな」

「あら」と云って障子をあけ、女が覗いた、「そこにあるでしょ」

「水になっちまった、火が消えちゃってるんだ」

「持って来るわ」女は媚びた表情で頬笑みかけた、「寝ないでね」