Japanische Klassiker mit Furigana
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おさん
おさん
山本 周五郎
Lesen Sie おさん von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.128 Zeichen · 66 Bildschirme
もとは縹緻よしだったろう、眼鼻や顔だちはととのっているが、哀れなほど窶れて、頸や手などは乾いた焚木のように細かった。作次は炭屋河岸の小助店にいる、そう云うだけで、あとはなにを訊いても返辞をしなかった。七つと五つくらいの女の子に、よちよち歩きの男の子がいた。三人きょうだいなのだろう、三寸ばかりの竹切を使って遊んでいたが、誰かにないしょでやっているように、動作も静かだし、なにか云うのもひそひそ声であった。女房も三人の子供たちも、しまいまで参太を見ようとはしなかった。
「東は、――東だろうな水戸は」と子供は歩きながら話していた、「江戸から見ると北かな、おじちゃん東かい北かい」
「なにが」参太はわれに返ったように振返った。「うん水戸か、そうさ、東北かな」
「そっちは水戸までしかいかなかった、西は須磨ってところまでいったけどさ、こんどはおれ仙台までいってみようと思うんだ」
「うちや親たちはどこなんだ」
「いま話したじゃねえか、聞いていなかったのかい」子供は舌打ちをした、「丑年の大水でみんな死んじゃっただろう、おれは七つでさ、町預けになったけれどつまんねえから、きっぺと二人で逃げだしたんだ」