Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おさん

おさん

山本 周五郎

Lesen Sie おさん von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.128 Zeichen · 66 Bildschirme

Aozora Bunko

「それからずっとそうやってるのか」

「結構おもしろいぜ」と子供は続けた、「寝たくなれば好きなところで寝るし、行きたいところがあればどこへでもゆけるしさ、小言を云われる心配はねえし、使いや用をさせられることもねえんだから」

「腹はいつもへってるんだろう」

「あれはたんかだよ、これと見当をつけた人があるとあれをやるんだ、腹なんかへっちゃあいねえ、銭が欲しいときだけさ」そこで子供は仔細らしく太息をついた、「――きっぺのやつはしっこしがねえのよ、三年めになったらくたびれちまったって、畳と蒲団が恋しくなったなんて、駿河の府中ってとこでふけちまやがった、ふん、いまごろはどこかで樽拾いか子守りでもやらかされてるんだろうさ、こっちは一人になって却ってさばさばしたけどね」

「そんなことをしていて、役人に捉まりゃあしないか」

「悪いこともしねえのにかい」子供は小さな肩を揺りあげ、ふんと鼻をならした、「たいてえの役人とはもう顔馴染なんだぜ、箱根の関所なんぞ役人のほうから挨拶してくれるよ」

「たいした御威勢だな」

「大名なみとはいかねえさ」子供は舌を出したが、急に立停った、「おじちゃん、飯田屋へ帰るのか」