Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
おさん
おさん
山本 周五郎
Lesen Sie おさん von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.128 Zeichen · 66 Bildschirme
二合の燗徳利を四本あけるまで、参太にはわけのわからないことを、休みなしに独りで饒舌り、独りで合槌を打っていた。そして、五本めに口をつけたとき、初めて思いだしたように、盃を持った手で参太を指さした。
「おめえ、さっきなにか訊くことがあるって云ったようだな」
「たいした話じゃあねえ、おさんのことだ」と参太は云い、云ったことを打ち消すように酒をすすめた、「まあ一ついこう、たまに一度ぐらいは酌をさせてくれ」
「親方とどこで会ったっけ、柳橋か」
「親方はよしてくれ」と参太が云った、「としからいったっておめえのほうがあにきだ、作あにいと呼んでもいいか」
「としのことを云ってくれるな」作次は左手で頬杖を突き、顔を歪めた、「おさんか」と作次は遠い俤を追うような眼つきで呟いた。
「あんな女はこの世に二人とはいねえな。可愛いやつだった、頭のてっぺんから足の爪先まで、可愛さってものがぎっちり詰ってた、ほんとだぜ、この世でまたとあんな女に会えるもんじゃあねえ、一生に一度、おさんのような女に会ったら、それでもう死んでも思い残すことはねえと思う、ほんとだぜ」
作次の全感覚に、おさんの記憶がよみがえってくるのを、参太は認めた。