Japanische Klassiker mit Furigana
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おじさんのはなし
おじさんの話
小山 清
Lesen Sie おじさんの話 (おじさんのはなし) von 小山 清 (こやまきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.232 Zeichen · 42 Bildschirme
昭和二十年の三月上旬に、B29が東京の下町を襲撃した際に、私は一人の年寄と連れ立って逃げた。その年寄のことを、なが年私はおじさんと呼んでいる。おじさんはそのとき、折りわるく持病の神経痛が出て跛をひいていたので、私は手を引いて逃げたのである。二人ともに身一つで逃げた。おじさんはいちど私のことをいのちの恩人だと云ったことがあるが、そんなに感謝される謂はなにもない。
私達はともにある新聞販売店に勤めていて、そこの主任が出征し、その家族が疎開したあとの留守宅を守っていたのである。店員も皆んな戦争にとられて、店に寝泊りしているのはおじさんと私のほかにはなく、配達は小学生が勤労奉仕でやってくれているような状態であった。そして私も店に寝泊りはしていたが、徴用されて軍需工場に通っている身の上であった。
私が下谷の竜泉寺町にあったその店に住み込んだのは、日華の戦争がはじまる少しまえのことであった。そして私は若い店員たちの中に、一人雑っている年寄りのおじさんを見た。おじさんの主な役目は紙分けであった。紙分けというのは、本社から輸送してきた新聞を、区域別に購読者の数に応じて分けることを云うのである。