Japanische Klassiker mit Furigana
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おせん
おせん
邦枝 完二
Lesen Sie おせん von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.074 Zeichen · 148 Bildschirme
「そんならこれでもお付けなんって。……おっとしまった。きのうかかあが洗ったんで、まるっきり袂くそがありゃァしねえ」
「冗談いわっし、お前の袂くそなんぞ付けられたら、それこそ肝腎の人さし指が、本から腐って落ちるわな」
「あっしゃァまだ瘡気の持合せはござせんぜ」
「なにないことがあるものか。三日にあげず三枚橋へ横丁へ売女を買いに出かけてるじゃないか。――鼻がまともに付いてるのが、いっそ不思議なくらいなものだ」
「こいつァどうも御挨拶だ。人の知らない、おせんの裸をのぞかせた挙句、鼻のあるのが不思議だといわれたんじゃ、松五郎立つ瀬がありやせん。冗談は止しにして、ひとつ若旦那、縁起直しに、これから眼の覚めるとこへ、お供をさせておくんなさいまし」
「眼の覚めるとことは。――」
「おとぼけなすっちゃいけません。闇の夜のない女護ヶ島、ここから根岸を抜けさえすりゃァ、眼をつぶっても往けやさァね」
「折角だが、そんな所は、あたしゃきょうから嫌いになったよ」
「なんでげすって」
「橘屋徳太郎、女房はかぎ屋のおせんにきめました」
「と、とんでもねえ、若旦那。おせんはそんななまやさしい。――」