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Japanische Klassiker mit Furigana

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おせん

おせん

邦枝 完二

Lesen Sie おせん von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.074 Zeichen · 148 Bildschirme

Aozora Bunko

「おっと皆までのたまうな。手前、孫呉の術を心得て居りやす」

「損五も得七もありゃァしません。当時名代の孝行娘、たとい若旦那が、百日お通いなすっても、こればっかりは失礼ながら、及ばぬ鯉の滝登りで。……」

「松っぁん」

「へえ」

「帰っとくれ」

「えッ」

「あたしゃ何んだか頭痛がして来た。もうお前さんと、話をするのもいやンなったよ」

「そ、そんな御無態をおいいなすっちゃ。――」

「どうせあたしゃ無態さ。――この煙草入もお前に上げるから、とっとと帰ってもらいたいよ」

三日月に、谷中の夜道は暗かった。その暗がりをただ独り鳴く、蟋蟀を踏みつぶす程、やけな歩みを続けて行く、若旦那徳太郎の頭の中は、おせんの姿で一杯であった。

五

「ふん、何んて馬鹿気た話なんだろう。こっちからお頼み申して来てもらった訳じゃなし。若旦那が手を合せて、たっての頼みだというからこそ、連れて来てやったんじゃねえか、そいつを、自分からあわてちまってよ。垣根の中へ突ンのめったばっかりに、ゆっくり見物出来るはずのおせんの裸がちらッとしきゃのぞけなかったんだ。――面白くもねえ。それもこれも、みんなおいらのせえだッてんじゃ、てんで立つ瀬がありゃしねえや。