Japanische Klassiker mit Furigana
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おせん
おせん
邦枝 完二
Lesen Sie おせん von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.074 Zeichen · 148 Bildschirme
……」
「そりゃどうも。おせんに聞かしてやりましたら、どれ程喜ぶか知れやァしません。――ところで若旦那」
「なにさ」
「そのお願いと申しますのは」
「その頼みとは」
「お金を。――」
「何んのことかと思ったら、お金かい。憚りながら、あたしァ江戸でも人様に知られた、橘屋の徳太郎、おせんの頼みとあれば、決していやとはいわないから、かまわずにいって御覧。たとえどれ程の大金でも、あれのためなら、首は横にゃ振らないつもりだよ」
「へえへえ、どうも恐れいりやした。いやもう、おせん、おめえよく捕ったぞ。これ程の鼠たァ、まさか思っちゃ。……」
「これ千吉つぁん、何をおいいだ。あたしのことを鼠とは。……」
「ど、どういたしやして、鼠なんぞた申しゃしません。若旦那にはこれからも、鼠のように、チウ義をおつくし申せと、こう申したのでございます」
「お前は口が上手だから。……」
「口はからきし下手の皮、人様の前へ出たら、ろくにおしゃべりも出来る男じゃござんせんが、若旦那だけは、どうやら赤の他人とは思われず、ついへらへらとお喋りもいたしやす。――ねえ若旦那。どうかおせんに、二十五両だけ、貸してやっておくんなせえやし」