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Japanische Klassiker mit Furigana

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おせん

おせん

邦枝 完二

Lesen Sie おせん von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.074 Zeichen · 148 Bildschirme

Aozora Bunko

「おや痛い、抓らなくッてもいいじゃないか」

「退かないからさ」

「おや、また抓ったね」

髪結のお辰と、豆腐屋の娘のお亀とが、いいのいけないのと争っているうちに、駕籠は更に多くの人数に取巻かれながら、芳町通りを左へ、おやじ橋を渡って、牛の歩みよりもゆるやかに進んでいた。

菊之丞の駕籠を一町ばかり隔てて、あたかも葬式でも送るように悵然と首を垂れたまま、一足毎に重い歩みを続けていたのは、市村座の座元羽左衛門をはじめ、坂東彦三郎、尾上菊五郎、嵐三五郎、それに元服したばかりの尾上松助などの一行であった。

いずれも編笠で深く顔を隠したまま、眼をしばたたくのみで、互に一言も発しなかったが、急に何か思いだしたのであろう。羽左衛門は、寂しく眉をひそめた。

「松助さん」

「はい」

「お前さんは、折角だが、ここから帰る方がいいようだの」

「なぜでございます」

「不吉なことをいうようだが、浜村屋さんはひょっとすると、あのままいけなくなるかも知れないからの」

「ええ滅相な。左様なことがおますかいな」

そういって眼をみはったのは嵐三五郎であった。

「いや、わたしとて、太夫に元のようになってもらいたいのは山々だが、今までの太夫の様子では、どうも難かしかろうと思われる。